Conway's Game of Life · 1970
方眼の上に置かれたセルが、たった4つの規則だけに従って生まれ、生き延び、消えていく。 プレイヤーがすることは最初の配置を決めることだけ。あとは盤面が勝手に動きつづける。 イギリスの数学者 John Horton Conway が1970年に考案した、 プレイヤーのいないゲームです。
3つのグライダー — それぞれ5つのセルが、4世代かけて1マスずつ斜めに進む。誰も動かしていない。規則がそう決めているだけ。
盤面とセル
盤面は方眼状の格子です。ひとつひとつのマスをセルと呼び、 セルは生か死のどちらかの状態しか持ちません。 次の世代でそのセルがどうなるかは、自分の今の状態と、 まわりで生きているセルの数だけで決まります。
中央のセルにとっての近傍は、斜めを含めた8つ。
まわりとは、上下左右と斜め、あわせて8つの隣接セルのことです。 そして更新は盤面全体で同時に起こります。 左上から順に書き換えていって、その結果を隣の判定に使う —— これをやると別のゲームになってしまいます。判定はすべて「今の世代」だけを見て行い、 書き込みは「次の世代」にまとめて行います。
4つの規則
規則はこれだけです。どのカードも、中央のセルがこれからどうなるかを示しています。 まわりの8つは判定のための入力なので、図では変化させていません。
全体像
4つの規則は、結局「今の状態」と「生きた近傍の数」の組み合わせ表にすぎません。 同じ近傍数2でも、生きているセルは生き残り、死んでいるセルは死んだままである点に注意してください。
| 今の状態 \ 生きた近傍 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 生 | 死 | 死 | 生存 | 生存 | 死 | 死 | 死 | 死 | 死 |
| 死 | 死 | 死 | 死 | 誕生 | 死 | 死 | 死 | 死 | 死 |
一行にまとめるなら —— 生きているセルは近傍が2か3なら生き残る。死んでいるセルは近傍がちょうど3なら生まれる。それ以外はすべて死。
確かめる
規則が見ているのは近傍の個数だけで、どこに配置されているかは関係ありません。 中央セルの状態と近傍数を選ぶと、次の世代がどうなるか分かります。
規則が生むもの
以下はすべて、上の規則をそのまま適用しているだけの盤面です。 形が固定される配置、周期的に往復する配置、盤面を移動していく配置が、規則の中から自然に現れます。
本来のライフゲームは無限に広がる格子を考えますが、ここでは有限の盤面を使い、その外側は常に死んだセルとして扱っています。 グライダーは端に到達すると壊れてしまうため、端に触れた時点で最初の配置に戻しています。
なぜ有名なのか
単純な規則から、規則そのものには書かれていない複雑な構造が現れることを 創発と呼びます。ライフゲームはその最も有名な例です。
さらにこの盤面の上には、グライダーを信号として使うことで論理ゲートやメモリを組み立てられます。 その帰結として、ライフゲームはチューリング完全である —— つまり原理的には、この方眼の上にコンピュータを作れることが示されています。
一方で、無限に広がる格子の上のライフゲームには、機械的には答えを出せない問いが含まれています。 たとえば「与えられた有限の初期配置がいつか完全に消滅するかどうか」を、 あらゆる場合について判定するアルゴリズムは存在しません。 規則は4行で書き切れるのに、その将来には決定不能な問いが混じっている。 この落差こそが、ライフゲームが半世紀にわたって研究されつづけている理由です。
John Horton Conway, 1937–2020. 考案は1970年、Martin Gardner が Scientific American 誌のコラムで紹介したことで広まった。